(地球にこんな強力な怪獣がいたなんて・・・!)
砂漠で対峙した怪獣の強さにソフィーは驚きと動揺を隠せずにいた。
地球の怪獣を侮っていたわけではない。だがしかし、この環境でこれほどの力をもった生物が産まれ生息しているとは思っていなかった。
奮戦するソフィーだったが、この怪獣、アントラーの甲殻は恐ろしく硬く肉弾戦ではまともなダメージは与えられなかった。それどころか攻撃を放ったソフィー自身が拳や脛を痛めるばかりだった。
(このまま攻撃を続けたら、私のほうが先に壊れちゃう・・・。)
ならばと光線技主体に切り替えるがその光線技もことごとく弾かれてしまい、通用する気配がない。
なんとかダメージを与える手段はないかと思案をめぐらしながら戦っていたソフィーだったが、アントラーの巻き上げる砂煙はほんの一時的にだがソフィーの視力を奪い、一度地面に潜ってからの死角からの攻撃に対応できず徐々にだが追い込まれていく。
(一度飛んで体勢を・・・!)
一度距離をとり空中へと飛び立つソフィー・・・が、
「な・・・なに!?何かに引っ張られ・・・てる!?」
気がつくとソフィーは虹色の光線に包まれていた。アントラーの磁力光線だ。その力に抗う事はかなわずアントラーの大顎がソフィーの眼前に迫る。
(アレに捕まったら・・・!?)
戦慄するソフィー。ダメージは与えられないまでもアントラーの頭部を蹴り飛ばしなんとか難を逃れる。
しかし、その程度で戦況は好転するはずもなく、先ほどまでと同様の展開になる。
(攻撃は通用しない、空も飛べない、一体どうすればこの怪獣と戦えるの・・・)
すでにソフィーの思考は本人も気づかぬうちに目の前の敵を打ち倒すことから、まずまともに戦う手段を模索する様になっていた。
「きゃあっ!!」 「あうぅっ!!」
時には切先でかすめるように皮膚を切り裂かれ、そして時には肉を抉る様に深々と、ソフィーの身体はアントラーの大顎に傷つけられていった。なんとか、なんとかしなければ。傷だらけになりながらもなんとか反撃に転じようとするソフィー。だが肉弾戦ではアントラーの甲殻の硬さで手足を痛めて戦いを続けられない状況に陥る危険すらある。それだけは避けたい。光線技で応戦せざるを得ないソフィー。
だが結果的にソフィーは更に追い込まれることになった。
「ハァ・・・ハァ・・・」(身体が・・・重い・・・)
胸のカラータイマーが赤・・・から徐々に光を失おうとしている。光線技の多用によりソフィーのエネルギーは底を尽きようとしていた。考え無しに撃っていたわけではないがどうやってもアントラーにダメージらしいダメージを与える事が出来ない。
(もう・・・エネルギー・・・が・・・)
アントラーの攻撃による傷とエネルギーの欠乏によりソフィーの動きは目に見えて鈍くなっていた。そしてその時を待っていたと言う様にアントラーが動き出す。
狡猾な砂漠のハンター、アントラーは目の前の敵–––––獲物を確実に仕留めるため痛めつけ体力を奪い少しずつソフィーを弱らせていたのだ
再び地に潜るアントラー。するとソフィーの立っていた場所を中心にすり鉢状のくぼみが生まれソフィーを引きずり込んでいく。
(こ・・・これは!?)
どんな絶望的な状況でも黙ってやられるつもりはない。最後まで諦めない、とすぐにその場から離れようとする・・・が
ガシイィッ! 「あっ!?」
アントラーの大顎がソフィーの脇腹を捕らえる。
「う・・・あああああああああぁっ・・・・・・」
先ほどまで使っていた切れ味鋭い先端ではなく少し分厚い根元を使いソフィーを肋骨が砕けんばかりに締め上げる。手の肉が裂けるのも構わずなんとか大顎をこじ開けようとするも、エネルギーのほとんどを失い傷ついた今のソフィーの力では脇腹を締め付ける力を緩めることすらできない。あまりの痛みと息苦しさに意志に反して涙が出る。
そうこうしてる間にも締め付けに耐えられなくなった肋骨は破壊され、身体はすり鉢状のくぼみの中心に引き摺りこまれるように砂の中に飲み込まれていく・・・・・・。
ソフィーはこの窮地から逃れることができるのか!?あらゆる攻撃が通用しないアントラーに勝つ事はできないのか!?
というところで後はご想像にお任せします。青い石があれば逆転できるかもしれませんし、なければこのまま・・・。
アントラーは元々かなり強い怪獣なんですよね。ウルトラマンでも青い石(とキャップの強肩)がないと勝てなかったでしょうし。
さて、久しぶりの1枚絵(とSS)はいかがでしょうか。今まで自分のブログだししばらく好きにやるかとここまで来ましたが、「そろそろ怪獣と戦うシーンもみたい」という意見をいただき、やっぱり折角足繁く通ってくれている人がいるのだから、要望にも応えていかないといけないなと思い少しずつリクに応える形をとることにしました。まずは第一弾ということで。